角膜に必要な酸素量

コンタクトレンズによる眼障害が起こる主な原因の一つが、角膜の酸素不足です。コンタクトレンズが角膜を覆うことによって、角膜が大気から酸素を供給することが妨げられ、その結果角膜が取り込める酸素の量が減少します。そして、角膜が慢性的な酸素不足に陥ると、さまざまな眼障害が起きるのです。
では、角膜にはどれくらいの酸素が供給されていれば安全なのでしょうか。
まず、裸眼の時にどれくらいの酸素が角膜に供給されているのかを見てみましょう。通常、空気中にある酸素量は約20%ほどです。酸素が占める圧力である“酸素分圧”は、1気圧760mmHgの20%に当たる152mmHgとなり、角膜上の酸素分圧もこれと同じになります。これが、裸眼で目を開いていいる時に、角膜が供給できる酸素量となります。
この酸素分圧は、目を閉じるとおよそ50mmHgにまで低下します。目を閉じている間は、まぶたなどの血管から酸素が供給されていますが、大気の約3分の1ほどの酸素分圧にまで下がっているわけです。ですが、裸眼で眠っている間に、角膜が酸素不足になって眼障害を起こすことはありませんので、コンタクトレンズの装用時間が必要以上に長くならない限り、この50mmHgほどの酸素分圧が確保できていれば、目の健康は保てる可能性が高いと言えます。
では、コンタクトレンズ装用時の角膜上の酸素分圧は、どれくらいの数値になっているのでしょうか。
まずハードレンズの場合ですが、ハードレンズはまばたきの度に角膜の上を移動し、レンズ下の涙が頻繁に交換されます。フィッティングが適正で、酸素透過性の高いハードレンズであれば、角膜上の酸素分圧は約100mmHg前後、つまり、目を閉じた状態の2倍ほどとなります。レンズを正しく扱っている限りは、基本的に角膜上の酸素分圧は安全圏に保たれることになります。
次にソフトレンズですが、ソフトレンズは角膜全体をすっぽり覆うため、涙の交換がスムーズにできません。レンズ下の涙すべてを交換するためには、30分以上の時間がかかると言われています。そのため、酸素供給は主にソフトレンズが含む水分を通して行われることになりますが、やはり裸眼時ほどの酸素供給は行われず、含水率の高いレンズでも、角膜上の酸素分圧は50mmHgを超えるくらいの数値だと言われています。もちろん、安全圏に収まっているので問題はありませんが、目を閉じた状態の酸素分圧よりは高いというくらいの数値ですので、レンズを正しく扱っていない場合には酸素量はさらに低下し、危険な状態となります。
ちなみに、ハードレンズでもソフトレンズでも、装用したまま眠ってしまうと、角膜上の酸素分圧は50mmHgを大きく下回り、角膜に障害を起こしやすくなります。
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